・*:..。o○君の歌声○o。..:*・

傲慢と無垢故の自意識過剰、 それもまた愛すべき 暴君 、

それは雨とともに。

急に降りだした雨は、
あっという間にどしゃ降りになった。

まるで母の心の中のようだよ、と
冗談半分に言われた。


駅まで見送りに来てくれた。
大丈夫だと言ったのに、入場券まで買って
ホームで見送ってくれた。


泣かないでよという母も泣いていた。

何度も家を出て暮らしていたのに
こんなに切なくなるとは思わなかった。

ほろほろと泣いていた。
出発のアナウンスが流れて、
母は小走りに電車を追いかけて
やっぱり最後まで泣いていた。


雨雲と一緒に移動をした。
晴れ間とどしゃ降りを繰り返しながら
新しい街に着いた。

人混みにはまだ慣れなくて
息を切らしながら、キャリーを引いて歩いた。

何本か電車を見送って、ようやくマンションに着いた。
へとへとになっていたけれど、
送った荷物を受け取って、ばたばたとしていた。


ようやく落ち着いて食事をとっている最中に
やっぱり淋しくなって泣いている。

実感はまだない。
すぐ帰るような気がしていて、
それは何ヵ月か先のことだということを理解できてない。

望んでここに来たんだ、
だから、哀しい訳じゃない。

でも、やっぱり淋しいのだろう。

忙しさで紛れさせなければ、
涙はまだ、止みそうにない。



こんな風に実家を出るとは思わなかった。
涙が出るほどに、
家を「家」だと認識していたんだなと思う。

幸せなことだ。


=遊兎=